第2回 分譲地管理契約を考える全国情報交流会

表題の交流会についての報告と今後の活動方針の備忘録
吉川祐介 2026.02.17
誰でも

2026年2月15日(日)、東京・大塚のパートナーズ法律事務所において、「第2回分譲地管理契約を考える全国交流会」が開催された。すでに「原和義弁護士の訃報」の記事でもお伝えしているように、この会はもともと、別荘地の管理契約やその管理費を巡る法的紛争に長年取り組んできた故原和良弁護士の発案により発足したもので、原先生がまだ存命中の昨年11月1日に第1回目の交流会が開催された。

しかし2026年1月15日の原先生の急逝により、原先生が代表弁護士を務めていたパートナーズ法律事務所の運営とその存続について様々な調整が必要となっていたため、会の方向性も事実上ふりだしに戻ってしまった。幸い、事務所の運営は今後も継続していく方向性とのことである。

僕自身は別荘地の管理契約について個人的に紛争を抱えているわけではなく、あくまでこの会や、別荘地管理契約を巡る様々な紛争事例を紹介して広く周知させていくための広報役として参加している。しかしまさかの原先生の訃報を受け、交流会はもちろん、事務所の継続の方向性がどうなっていくのか僕には判断できなかったため、今日の時点ではまだ広く交流会への参加を呼びかける宣伝は行っていない。

発足人であったであった原先生の逝去は交流会メンバーはもちろん、何より係争の当事者の方々にとって痛恨のダメージと言わざるを得ず、率直に言って現時点では、別荘地管理契約に悩む方が今すぐ参加して結果が出せるという体制にはまだ至っていない。また僕自身としても、参加者が所有する別荘地のほとんどは訪問もできていないのが現状だが、まずは今回の交流会の報告を簡単に行いたい。

交流会は会場参加とオンライン参加の2通りがある。参加者は、パートナーズ法律事務所所属の先生方の他、帝京大学法学部准教授の長島光一先生、長年リゾート物件の売買や情報誌の発行などに携わってきた株式会社レゾンの森田光昭代表、僕と僕の担当編集者の他、紛争の当事者として以下の方々が参加している。

①那須塩原リゾートタウンパルコ裁判 被告側代理人 茆原(ちはら)洋子弁護士

2025年6月30日に最高裁判決が確定した不当利得返還請求事件における被告人(別荘地所有者)の代理人である茆原先生が参加された。現在、確定した先の判決とは別に、同じ原告の五大観光株式会社から新たに別の裁判を起こされ、被告側も反訴し現在も係争中である。

五大観光株式会社によるこの不当利得返還請求事件の顛末については、僕は東京高裁で閲覧した裁判記録をもとに、すでに楽待新聞に寄稿しているが、改めて本件については茆原先生を通じ、被告人の所有者の方に取材を申し込んでいる。いずれまた詳細を報告したい。 

土地所有者への管理費請求や不当利得返還請求訴訟を続ける五大観光株式会社の「塩原リゾートタウンパルコ」(栃木県那須塩原市)

土地所有者への管理費請求や不当利得返還請求訴訟を続ける五大観光株式会社の「塩原リゾートタウンパルコ」(栃木県那須塩原市)

②あかざわ恒陽台(静岡県伊東市赤沢)

パートナーズ法律事務所が代理人として管理契約の解除を求め係争中の伊東市の別荘地。2025年1月9日に静岡県沼津地裁において、管理契約の解除を認める判決が下され所有者側が勝訴したのだが、先の五大観光事件の最高裁判決の影響か、同年7月1日に東京高裁において一審判決が覆され所有者側が敗訴してしまった。

あかざわ恒陽台においては、管理会社は長年管理費を徴収しながら、土地所有者に対し一切の会計報告も行っておらず、裁判所からの開示命令を受けてようやく公開する有り様で、温泉の更新料も値上げが続き、あまりに大きな値上げについて所有者側が騒いだら値下げするなど不透明な運営が続いている。

③伊豆富士見高原小松ケ原別荘地・エンゼルフォレストリゾート(静岡県伊豆の国市)

裁判はまだ行われていないが、従前のおよそ1.7倍の管理費値上げを通告され、しかし同別荘地内の道路と水道管はすでに伊豆の国市に移管済みであるため、それ以外の「管理業務」について大幅値上げの根拠が示されていないとして所有者側が反発している。

④一般社団法人和知野自治会(三重県津市)

REIWAリゾートグループ・ハートランド管理センターと長年係争中の三重県の自治会。複数の自治体と合同で結成した住民組織もあるが、会としての参加ではなく、自治会の住民が参加。旧全管連時代を含めれば20年にも及ぶ管理会社との紛争・トラブルが続いているので対策も確立している。また、適格消費者団体「ひょうご消費者ネット」が提起した訴訟はハートランド管理センター側の敗訴が確定し、管理費裁判における重要な判例の一つになっている。

僕も動画で取り上げたことがあるのだが、あまりに根が深い問題のため未だに活字での発表が実現できていない。

⑤ニューパークひるがの(岐阜県郡上市)

個人の所有者が参加。もともとは亡父が購入した単なる山林だったが、相続後しばらくしてから管理会社が出現し、管理費の請求が始まる。支払いを続けていたが、子供らより処分を懇願されたため売却を試みたが売れず、管理会社からも契約解除を拒絶され、管理費未納者とは裁判を行う意思があると通告を受ける。また管理会社への引取を希望したら、引取料金として180万円の手数料が必要との報告を受ける。

ニューパークひるがのについては僕は詳しくないが、あとから登場したり、あるいは旧来の管理会社が撤退・廃業し、新たな管理会社から大幅な管理費値上げの通告や、高額の引取料金を要求される事例は数多くある。全管連もそのうちの一つ(というか代表事例)であるし、山梨県内の某別荘地についても視聴者さんより同様の相談を受けたことがある。

⑥バラード白浜(和歌山県白浜町)

今回の交流会では具体的な報告はなかったが、第1回、第2回とも当事者である所有者が複数会場参加しており、事例としては「ニューパークひるがの」と同様、遠方に住む相続人が、土地の売却も管理契約の解除も叶わず、管理費の負担を続けているというものである。

⑦伊都ハイランド(福岡県糸島市)

こちらも具体的な報告があったのは第1回の交流会で、今回は詳細な報告はなかったが(時間の都合もある)、当初の管理会社が廃業し現在の管理会社に変わってからというもの、管理費の値上げを行い徴収しておきながら、具体的な別荘地内の管理業務はほとんど何も行っておらず、共用のテニスコートなどは廃墟と化しているらしい。管理会社が水道設備の所有権を握っているので、管理費の支払いを拒絶した所有者や住民の中には、管理会社が無断で水道管を掘り起こして切断するという乱暴な実力行使を行われた方もいる。

以上が今回の主な参加者の顔触れとトラブル・課題の内容である。やはり係争中の当事者にとっては深刻な問題で、多くの参加者が、自らの別荘地が抱える問題を熱心に説明する。

しかし、これは僕ではなく原先生が交流会の発足時に語られていたことだが、参加者がお互い抱える自己の悩みや問題を開陳し合うだけでは、ただ当事者同士で慰め合うだけの場になってしまって事態は進展しない。この問題を集約し、当事者以外にも広く外部に伝えていくことが肝心である。管理契約の解除も認められず、契約をしていない所有者にまで管理費相当額の支払いを命じる判決が下されるのは、そもそも裁判所側に、未だに別荘地は贅沢品の一つに過ぎないという程度の認識しかないからだ。

現実には高度成長期時代に開発された別荘地の多くは世代交代が進んでおり、今やその相続人ですら60代、70代の高齢者であることも珍しくない。またその相続人も、別荘地だからといって富裕層であるかといえば決してそんなことはなく、とりわけ現在の別荘地の定住者は、旧軽井沢のようなよほど高級なところは別として、むしろ老後の支出を抑えるために、都市部の住居(賃貸も含む)を離れて別荘地で暮らす人も少なくない。僕が現在暮らしている茨城県の鉾田市もまさにそんな場所のひとつだ。

別荘を、別荘として所有し活用するには今でもある程度の経済力が必要だが、更地も含めてその所有者のすべてが富裕層であり、不透明な管理費請求も甘受しなければならないというのはあまりに乱暴であると言わざるを得ない。

崩落した私道。管理会社が入る別荘地だが、一民間事業者に過ぎない管理会社によるインフラ維持整備は難しく、管理費の徴収が行われるばかりで共用部の修繕は遅々として進まない。(栃木県那須町)

崩落した私道。管理会社が入る別荘地だが、一民間事業者に過ぎない管理会社によるインフラ維持整備は難しく、管理費の徴収が行われるばかりで共用部の修繕は遅々として進まない。(栃木県那須町)

しかし、僕みたいな仕事をしている人間であればまだしも、当事者である多くの所有者にとって、最大の関心事はやはり自分が所有する土地の始末である。詳細は書けないが、実は今回、第1回の交流会にも参加していたある方が、まず何よりこの問題から手を引きたいとして、10年分の滞納管理費を全額精算したうえで、さらに有償引取業者に依頼して土地を処分したという報告があった。

ご本人も、これは自分にとってはやむを得ない解決手段だったとしても、決して手段として良い方法であるとは思えないので心苦しいと語っていたが、しかし誰もその選択を責めることはできないだろう。裁判の当事者は皆問題からの解放を望んでいるのであって、僕みたいに事例を収集して仕事の種にしたいと考えている人なんていない。もちろん事例は一つでも多く共有されるべきだが、その所有者同士で問題を開陳し合うだけでは、確かに交流会のさらなる発展は期待できそうにない。

僕自身前回、今回の両日とも会場で参加してみて、これは仕方のないことなのかもしれないが、開催中、各地の参加者の自己紹介と事例の説明に多くの時間が割かれすぎているのではないかとの印象があった。参加当事者の事例は、要約して事前に資料として配布して共有し周知の事実としたうえで、今後の展開のための提案に時間を割くほうが良いのではないかと思う。

そこで提案されたのが、交流会の参加者の対象をより広げていく案である。現状参加者の大半は紛争の一方の当事者、つまり管理費を支払う側の所有者であるが、もう一方の管理会社側の立場の参加者も必要であると、株式会社レゾンの森田代表から提案があった。解決のすべてを裁判の結果に委ねるのでは時間がかかりすぎるので、もう少し現場の実情に即した解決方法を模索していくべきである、との意見であった。

40年に渡るリゾート物件の売買の経験を持つ森田氏は「リゾート物件に関わる業者の9割7分は悪徳業者」と断言して憚らないが、それでも建設的な運営を行う管理会社は存在するらしい。森田氏はすでにいくつかの具体的な方法論をお持ちであり、僕も以前その案の一部をお聞かせいただいたことがあるが、残念ながら今回はその案の具体的な検討までは話が及ばなかった。

そんな訳で、原先生の逝去からまだ1ヶ月ほどの段階で、今の時点で多くの参加者を募れる状況でもないというのが現状ですが、別荘を所有、あるいは相続して処分に困っている方や、現時点で売却の予定はないが管理の問題についてご意見、お考えのある方の参加を広く募集しています。このニュースレターの開設の目的の一つがこの会の報告を含めた別荘地問題についての情報発信なので、僕も引き続き極力この交流会には現地参加していきます。次回の開催日はまだ未定ですが、決まり次第またお知らせいたしますのでどうぞよろしくお願い致します。

【分譲地管理契約を考える全国情報交流会】

東京都豊島区南大塚3−36−7 T&Tビル4F

03−5911−3216

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