大洋村『幸福を呼ぶ龍宮城明るいニュース』

大洋村の有名な廃墟スポット「龍宮城」の故三好常吉氏が発行していた新聞
吉川祐介 2026.02.02
誰でも

僕が現在暮らしている大洋村(とその周辺)の別荘地は、自身の物件の修繕や暮らしの模様を発信しているYouTuberが何人かいる。僕自身は特にお付き合いのない方が多いので詳しい素性は知らないが、それぞれ皆さん事情はあるだろうとは言え、まあ変わり者であることは間違いない。その点についてはおそらく僕も人のことは言えない。

大洋村に住む風変わりな人物が広く注目を集めるのは今に始まった話ではない。大洋村には「龍宮城」と呼ばれる有名な廃墟スポットがあり、そこは元々1983年に移住してきた三好常吉氏という男性の居宅だった。三好氏は2001年に亡くなっており、以後は相続登記もされず故三好氏の名義のまま20年以上放置されている。現在は倒壊が進み往時の痕跡はほぼ失われており、最近は見学に来る者も少ないとは思うが、まだ面影が残っていた10~20年前は首都圏近郊の廃墟スポットとして定番中の定番で、今でもGoogleやYouTubeで「大洋村 龍宮城」で検索すれば数多の訪問記がヒットする。

かつての「龍宮城」跡。倒壊が進み、もはや廃墟スポットとして名を馳せた時代の面影も失われつつある。

かつての「龍宮城」跡。倒壊が進み、もはや廃墟スポットとして名を馳せた時代の面影も失われつつある。

建物はすべて故三好常吉氏による自作であったらしい。

建物はすべて故三好常吉氏による自作であったらしい。

生前の三好氏は、田舎の別荘地でテーマパークをすべてDIYで建築する、いわば「面白おじさん」の扱いで頻繁にテレビや週刊誌のネタになっていた。本人もメディア露出に積極的であったようだが、残念ながら僕は生前の三好氏をテレビや週刊誌で見たことがない。僕が龍宮城の存在を知ったのは、今から20年以上前に読んだ何かの廃墟本であり、今ではその本のタイトルも思い出すことはできないが、当時は大洋村という場所についての知識もなく、関心を持って訪問することもなかった。かろうじて記憶の片隅にあったあの「龍宮城」がこの大洋村に位置するものと知ったのはずっと後、僕が大洋村についてブログ記事を書くようになってからである。

そのため僕は特に三好氏の龍宮城を題材にして詳細に語れる話もなく、またその予定もないのだが、先日知人より、三好氏とは無関係のある中古別荘の残置物の中から、かつて三好氏が発行していた新聞『幸福を呼ぶ龍宮城明るいニュース』が6部見つかったということでご提供いただいた(一部タイトル表記が異なる号もある)。

発行年は平成6年~10年。もっとも日付が新しい平成10年のものでNo.87とあり相当な発行部数だ。だがこの新聞が、果たしてどの程度の頻度で発行されていたのか、また誰に向けて頒布していたのか、今となっては知る術もない。取材を受けた週刊誌の掲載記事を切り貼りして手書きの記事を添えた三好氏自作のもので、まあ厳密に言えば著作権的にはグレーなのだろうが、それももうすべて遠い昔の話だ。

まだYouTubeはもちろんなく、インターネットやパソコン通信も身近なものではなかった時代、三好氏はこうして自身の生活ぶりを自作の新聞によって発信し、余生をこの大洋村で過ごしていた。その生きざまを羨ましいと考える人はあまりいないかもしれないが、少なくとも『龍宮城ニュース』で見られる三好氏の顔はどれも満面の笑顔で、ご本人はそんな生活に満足されていた模様が偲ばれる。

前述のように今はもう龍宮城跡はまともに立ち入れる状況でもなければ、わざわざ侵入してまで立ち入るほどの見どころもなく、おそらく今後は「廃墟スポット」としての龍宮城の記憶も薄れていくことであろう。今は昔となった、かつての「大洋村」の記憶の断片として、この貴重な『龍宮城ニュース』を紹介したい。

平成6年元旦号(No,40)

平成6年元旦号(No,40)

No.41表

No.41表

No.41裏

No.41裏

No.42表

No.42表

No.42裏

No.42裏

No.43表

No.43表

No.43裏

No.43裏

No.64

No.64

No.87表

No.87表

No.87裏

No.87裏

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