【取材メモ】大蔵屋開発・青山プリンスランド跡
三重県の伊賀市は、近畿地方屈指の放棄分譲地の集積地として一部でよく知られている。隣接する名張市は、バブル期の地価高騰時、大阪府内への通勤を想定した宅地分譲が盛んに行われ、実際に家屋が多数建てられたベッドタウンが誕生したが、伊賀市の場合、開発はされたもののほとんど住戸が建つこともなくそのまま放棄されているものが目立つ。家屋の密度の低さは関東の放棄分譲地・限界分譲地ではなかなか見られない水準で、数百区画規模の巨大な分譲地であっても家屋は10戸にも満たないところもある。
関東在住の僕はなかなか訪問することも叶わない伊賀市だが、以前「全管連」の取材の際、同市神戸の「きじが台団地」を訪問したことがあった。ここも家屋が少ない住宅団地だが、名張の市街地に比較的近く、まばらに建つ住宅は一般の住戸として使用されている模様が窺えた。しかし、伊賀市にある放棄分譲地はベッドタウン用途を想定して開発されたものだけではない。
伊賀市青山羽根の放棄分譲地。伊賀市の放棄分譲地は巨大なものがいくつも見られる。三重県屈指の放棄分譲地の集積地だ。
伊賀市は2004年にそれまでの旧上野市、旧伊賀町、旧島ヶ原村、旧阿山町、旧大山田村、旧青山町の6市町村が合併して誕生した広大な自治体だが、このうち旧青山町の青山高原エリアは、戦前期より「関西の軽井沢」として別荘地分譲が行われていた高原地帯であり、市域は津市であるが「青山高原保健休養地」などの現役の別荘地もある。一方で青山高原の別荘地もまた、投機目的で分譲されたきりそのまま放棄分譲地と化したものも数多い。今回紹介する「青山プリンスランド」もその一つである。